千葉でラバーダムを使用した根管治療を行っている歯医者、陽光台ファミリー歯科クリニックです。

根管治療を受ける際、「ラバーダム」という器具について聞いたことはありますか?多くの患者さんにとって馴染みのない言葉かもしれませんが、実は根管治療の成功を大きく左右する重要な医療器具なのです。

 

ラバーダムとは何か?根管治療での役割

ラバーダムとは、薄いゴム製のシートに穴を開け、治療する歯だけを露出させて口腔内を隔離する医療器具です。一見すると単純な道具に見えますが、根管治療においては欠かせない重要な役割を担っています。

ラバーダム
根管治療は、歯の神経が入っている細い管(根管)を清掃・消毒し、薬剤で封鎖する治療です。この際、ラバーダムは治療部位を唾液や細菌から完全に隔離し、無菌的な環境を作り出します。また、細かい治療器具や薬剤が口腔内に落下することを防ぐ安全装置としても機能します。

海外の歯科治療では標準的に使用されているラバーダムですが、日本では使用率が低いのが現状です。しかし、根管治療の成功率を高め、患者さんの安全を確保するためには、なくてはならない器具と言えるでしょう。

 

ラバーダムなしで根管治療を行うリスク

ラバーダムを使用せずに根管治療を行った場合、様々な深刻なリスクが生じる可能性があります。

最も重要なリスクは、細菌感染の危険性です。唾液には無数の細菌が含まれており、ラバーダムなしでは清掃した根管内に唾液が流入し、再感染を起こす可能性が高くなります。これにより、治療期間が長期化したり、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。ラバーダムを使用しない根管治療について詳しくはこちらをご覧ください。

根管内に唾液が侵入

また、根管治療では非常に細かい器具を使用するため、誤飲や誤嚥のリスクも無視できません。ファイルやリーマーといった治療器具が咽頭部に落下した場合、緊急処置が必要になる場合があります。

ハンドファイル

さらに、根管治療で使用される次亜塩素酸ナトリウムなどの薬剤が口腔粘膜に付着すると、化学熱傷を起こす可能性もあります。

ラバーダムはこれらの薬剤から口腔粘膜を保護する重要な役割も果たしているのです。

統計的にも、ラバーダムを使用しない根管治療の成功率は大幅に低下することが報告されており、再治療が必要になる確率が高くなることが知られています。

 

ラバーダム使用の実際の効果とメリット

ラバーダムを適切に使用した根管治療では、多くの明確なメリットが得られます。

治療成功率の向上が最も重要な効果です。無菌的な環境で治療を行うことで、根管内の感染を確実に除去し、再感染のリスクを最小限に抑えることができます。海外の研究では、ラバーダム使用時の根管治療成功率は90%以上に達するという報告もあります。

 

患者さんの安全面でも大きなメリットがあります。器具の誤飲防止はもちろん、治療中の薬剤から口腔粘膜を保護し、快適で安全な治療環境を提供できます。
意外かもしれませんが、治療時間の短縮効果も期待できます。唾液の流入を防ぐことで視野が確保され、効率的な治療が可能になります。また、頻繁な吸引作業が不要になるため、集中して治療に取り組むことができます。
さらに、ラバーダムを使用することで、患者さんも安心して治療を受けることができます。口の中が保護されている安心感と、高品質な治療を受けているという信頼感を得ることができるでしょう。

 

ラバーダムを使用しない歯科医院の実情

残念ながら、日本におけるラバーダムの使用率は欧米諸国と比較して著しく低いのが現状です。アメリカでは根管治療時のラバーダム使用率が95%以上であるのに対し、日本では数%程度という調査結果もあります。

ラバーダム使用率

ラバーダム使用率

 

この背景には複数の要因があります。まず、時間的な制約が挙げられます。ラバーダムの装着には数分の準備時間が必要で、保険診療の制約の中で時間をかけにくい現実があります。
コスト面での問題も存在します。ラバーダムは基本的に使い捨ての器具であり、使用するたびにコストが発生します。しかし、保険診療では十分な評価がされていないのが実情です。保険診療でのラバーダムの使用について詳しくはこちらをご覧ください。
技術的な面では、ラバーダムの適切な装着には一定の技術と経験が必要です。特に、歯の状態によっては装着が困難な場合もあり、全ての歯科医師が習熟しているわけではありません。

ラバーダム

また、患者さん側の認識不足も一因となっています。ラバーダムの重要性や必要性について十分に理解されていないため、使用を求める声が少ないのが現状です。
海外では、ラバーダム使用が治療の基準となっており、使用しない場合は治療の質に疑問を持たれることも少なくありません。日本でも徐々に意識は変わりつつありますが、まだまだ改善の余地があると言えるでしょう。

 

患者として知っておくべき対策と選択基準

根管治療を受ける患者さんとして、どのような点に注意して歯科医院を選べばよいでしょうか。

まず、治療前のカウンセリング時に「ラバーダムを使用するか」を必ず確認しましょう。使用する歯科医院であれば、その理由や効果についても丁寧に説明してくれるはずです。
歯科医院選びでは、根管治療に力を入れているかどうかを見極めることが重要です。専門的な設備を導入している医院や、根管治療の症例数が多い医院では、ラバーダム使用率も高い傾向にあります。
治療費についても事前に確認が必要です。自由診療の根管治療では、ラバーダム使用が標準的に行われることが多く、保険診療よりも高い成功率が期待できます。

万が一、現在通っている歯科医院でラバーダムを使用していない場合は、使用の可否について相談してみることをお勧めします。

また、根管治療のセカンドオピニオンを求めることも一つの選択肢です。特に、過去に根管治療を受けた歯に再び問題が生じた場合は、別の歯科医院での相談を検討してみてください。

最終的には、患者さん自身が納得できる治療を選択することが最も重要です。ラバーダムの使用について十分に理解し、安心して治療を受けられる歯科医院を見つけていただきたいと思います。

 

根管治療におけるラバーダムの重要性は、もはや議論の余地がないほど確立されています。細菌感染の防止、器具誤飲の予防、治療成功率の向上など、患者さんの安全と治療品質の両面で欠かせない医療器具です。
日本でのラバーダム使用率の低さは大きな課題ですが、根管治療を受ける際は、ぜひラバーダムの使用について歯科医師に相談し、より安全で確実な治療を選択していただきたいと思います。

当院では必ずラバーダムを使用して根管治療を行います。根管治療、歯の神経の治療でお悩みの方は当院へご相談ください。LINEまたははお電話(0438-38-4854)からご予約ができます。

 

医師紹介

理事長 渡辺 泰平(歯学博士)

資格

PERF-JAPAN講師(根管治療)

MicroPe​x Hygienic Laboratory講師(歯周病治療)

Karl Kaps Germany 認定講師(マイクロスコープ)

日本・アジア口腔保健支援機構 第二種感染管理者検定講師

日本顎咬合学会 認定医

日本アンチエイジング歯科学会

認定医日本健康医療学会 認定医

日本・アジア口腔保健支援機構 第一種感染管理者

健康医療コーディネーター

陽光台ファミリー歯科クリニック