歯の神経が死ぬまでどれくらい?期間と症状の進み方
千葉で歯の神経の治療・根管治療なら陽光台ファミリー歯科クリニックへ。
歯の神経(歯髄)は、歯に栄養と感覚を与える重要な組織です。むし歯や歯の外傷などで強いダメージを受けると、歯髄は炎症を起こし、やがて回復不可能な状態となって壊死します。これが一般的に「歯の神経が死ぬ」状態です。
多くの方が「痛みがなくなった=治った」と思いがちですが、神経が死ぬと歯の内部は細菌の温床となり、無症状でも感染が進行する危険があります。その結果、歯ぐきの腫れや膿、顎骨への炎症など、より重い症状を引き起こす可能性があります。
歯の神経が死ぬまでの期間や、その間に現れる症状を知っておくことは、早期発見・早期治療のために非常に重要です。期間や症状の進み方を理解しておくことで、歯を保存できる可能性が高まり、抜歯のリスクも減らせます。
神経が死ぬまでの一般的な期間の目安
歯の神経(歯髄)が死ぬまでの期間は、原因や体の状態によって大きく異なります。
むし歯が進行して神経に到達した場合、急性歯髄炎を起こし、数日〜1〜2週間ほどで神経が回復不可能な状態に移行することが一般的です。その後、炎症がさらに進むと歯髄は壊死し、完全に機能を失います。
外傷が原因の場合はさらに進行が早く、強い衝撃で歯の内部の血流が途絶えると、数時間〜数日で歯髄壊死に至ることもあります。一方、軽度のむし歯や咬み合わせによる慢性的な負担が原因の場合は、炎症がゆっくり進み、数か月〜1年以上かけて徐々に神経が弱っていくケースもあります。
神経が死んでいくときの症状の進み方
歯の神経(歯髄)が死んでいく過程では、症状が段階的に変化します。進行スピードは個人差がありますが、おおまかに次の3つのステージをたどります。
① 初期
冷たい物がしみる、噛むと違和感がある
痛みは刺激がなくなるとすぐに消える
神経はまだ生きており、早期治療で回復可能
② 中期
ズキズキする強い痛み、自発痛が出る
夜間や温かい物で痛みが増す
神経の回復は不可能で、多くの場合は根管治療が必要
③ 末期
痛みが急になくなる、または軽くなる
歯が灰色〜黒色に変色することがある
細菌感染が歯根の先まで進行し、歯ぐきの腫れや膿、顎骨の炎症(根尖性歯周炎)を引き起こす
ポイント:痛みがなくなったからといって治ったわけではありません。むしろ神経が死んだサインである可能性が高く、放置は危険です。
神経が死んだ歯を放置すると起こること
歯の神経(歯髄)が死んだまま放置すると、歯の内部は細菌の温床となり、感染が根の先や周囲の骨にまで広がります。これを根尖性歯周炎といい、強い痛みや腫れを引き起こすことがあります。
放置によって起こる主な変化とリスクは次の通りです。
歯の変色
壊死した神経や血液の成分が象牙質に染み込み、歯が灰色〜黒色に変化します。見た目だけでなく、内部感染のサインでもあります。
膿と歯ぐきの腫れ
感染が続くと根の先に膿がたまり、歯ぐきに小さな出口(フィステル・サイナストラクト)ができることがあります。慢性化すると痛みが少なく、進行を見逃しやすくなります。
顎骨への炎症拡大
感染が骨まで広がると骨髄炎や膿瘍を起こすことがあります。まれに全身へ細菌が回り、発熱や倦怠感などの全身症状が出る危険もあります。
治療が難しくなり抜歯になる可能性
放置期間が長いほど感染は複雑化し、根管治療での改善が困難になります。歯を保存できず抜歯が必要になるケースもあります。
神経が死んだ歯を放置すると、見た目の問題だけでなく健康リスクが高まります。痛みがなくても早めに歯科での診断・治療を受けましょう。
早期発見・治療のためのポイント
歯の神経(歯髄)を守り、神経が死ぬのを防ぐためには、早期発見と適切な治療が不可欠です。以下のポイントを意識することが重要です。
症状が軽いうちに歯科を受診する
冷たい物がしみる、噛むと違和感があるなどの初期症状は、神経がまだ生きているサインです。この段階で治療を行うことで、歯の神経を保存できる可能性が高まります。
定期的な歯科検診とレントゲン撮影
自覚症状がなくても、神経の炎症や感染が進行していることがあります。特にレントゲンは、歯の神経の状態や早期の根尖性歯周炎の発見に有効です。
むし歯や外傷の予防
正しいブラッシング、フッ素の使用、砂糖摂取のコントロールでむし歯を防ぎましょう。また、スポーツ中のマウスガード装着で歯への外傷を予防することも大切です。
全身の健康を保つ生活習慣
十分な睡眠、バランスの取れた食事、ストレス管理などで免疫力を保つことは、歯髄の健康維持にもつながります。
まとめ:痛みがなくなったからといって安心せず、初期症状や変化に気づいたら早めに歯科を受診することが、神経を守る最も確実な方法です。
歯の神経(歯髄)が死ぬまでの期間は、むし歯や外傷の原因、年齢や免疫力などによって大きく異なります。数日〜数週間で急速に壊死するケースもあれば、数か月〜1年以上かけて徐々に進行することもあります。
近年では、初期〜中期の歯髄炎に対して 歯髄温存療法(VPT) が行われることがあります。この治療は、まだ回復可能な神経を残すことで、歯の神経を保存し、歯の寿命を延ばすことを目的としています。早期に発見・治療すれば、歯髄温存療法で神経を守れる可能性が高まります。
歯の神経を守るためには、初期症状が出た段階での歯科受診、定期検診やレントゲンによる早期発見、むし歯や外傷の予防、そして全身の健康を保つ生活習慣が重要です。痛みがなくても変色や違和感を感じたらすぐに受診することが、神経を守り、歯を失わないための最も確実な方法です。