歯茎のできもの「フィステル(サイナストラクト)」と根管治療の関係を徹底解説
千葉で成功率の高い根管治療なら陽光台ファミリー歯科クリニックへ。
フィステル(サイナストラクト)は歯茎に現れる小さなできものや吹き出物のことで、「瘻孔(ろうこう)」と呼ばれます。
見た目は歯茎の表面に現れるニキビのような白や黄色の膿を含んだ袋状のものです。多くの患者さんは「歯茎にできものができた」「歯茎から時々膿が出る」という症状で来院されます。
フィステル(サイナストラクト)が発生する主な原因は、歯の根の部分に感染や炎症が生じることです。歯の神経が死んでしまったり、根の周りに細菌感染が広がったりすると、体はその感染部位から膿を排出しようとします。その膿が最も抵抗の少ない経路を通って表面に出てくるために形成される排出路がフィステル(サイナストラクト)なのです。
フィステル(サイナストラクト)自体は通常痛みを伴わないことが特徴的です。これは膿が外に排出されることで、内部の圧力が軽減されるためです。そのため、「痛くないから大丈夫」と思って放置してしまう方も少なくありませんが、これは危険な考え方です。フィステル(サイナストラクト)は歯の内部や根の周りに重大な問題があることを示す重要なサインなのです。
フィステル(サイナストラクト)と根管治療の関係 — なぜ専門的治療が必要なのか
根管治療は、根の感染を取り除くための専門的な治療法です。具体的には、感染した歯髄を除去し、根管(歯の根の中の管)を清掃・消毒した後、適切な材料で密閉する治療です。
フィステル(サイナストラクト)の原因となっている感染源を除去することで、フィステル(サイナストラクト)自体も自然と消失するのです。
「フィステル(サイナストラクト)は自然に治らないのか?」というご質問をよく受けます。残念ながら、フィステル(サイナストラクト)は一時的に消えることはあっても、根本的な原因(根の感染)が解決されない限り、再発することがほとんどです。抗生物質による治療だけでは、一時的に症状が改善することはあっても、根本的な解決にはなりません。
フィステル(サイナストラクト)がある場合は、問題を解決するための専門的な根管治療が不可欠です。放置すると感染が拡大し、より広範囲の炎症や骨の吸収を引き起こす可能性があります。早期発見・早期治療がお口の健康を守る鍵となります。
根管治療によるフィステル(サイナストラクト)治療の流れ — 専門医の視点から
フィステル(サイナストラクト)の治療を行う際、まずは詳細な診断を行います。レントゲン検査は特に重要で、根の先に存在する膿の袋(根尖病巣)の有無や大きさ、原因となっている歯を特定します。
時には、フィステル(サイナストラクト)の経路を確認するために「ガッタパーチャポイント」という細い棒状の器具をフィステルに挿入し、レントゲン撮影することもあります。
根管治療の基本的な流れ
・麻酔と防湿: 痛みを感じないように局所麻酔を行い、ラバーダム(ゴム製のシート)で治療部位を口腔内の唾液から隔離します。
・感染組織の除去: 歯の上部から穴を開け(すでに虫歯がある場合はその部分から)、特殊な器具を使って感染した歯髄を取り除きます。
・根管の清掃と消毒: 根管内を洗浄液で洗い流し、細菌や破片を除去します。複数回の治療に分けて行うことが一般的です。
・根管充填: 感染源がすべて除去されたことを確認後、根管を特殊な材料(ガッタパーチャなど)で密閉します。
・歯の修復: 最後に、歯冠部を詰め物や被せ物で修復し、機能と見た目を回復させます。
治療が成功すると、通常フィステル(サイナストラクト)は数日から数週間で自然に消えていきます。これは感染源となっていた根の問題が解決されたことを示す良い兆候です。フィステル(サイナストラクト)の消失は、根管治療が効果的に行われた証拠の一つとなります。
根管治療後もフィステル(サイナストラクト)が消えない場合 — 再治療の必要性と対処法
根管治療後もフィステル(サイナストラクト)が消失しない、あるいは一度消えたのに再発する場合は、いくつかの原因が考えられます。最も多いのは、根管治療が完全ではない可能性です。歯の根管は非常に複雑な形状をしていることがあり、細い副根管や分岐が見逃されることがあります。そのような場所に残った感染源がフィステル(サイナストラクト)の原因となり続けることがあります。
再治療が必要なケース
・根管充填が不完全または不適切
・見落とされた根管がある
・根管内に器具の破折片が残っている(破折ファイル除去についてはこちら)
・根管内に細菌が再感染した
再治療では、前回の充填材を除去し、再度根管内を徹底的に清掃・消毒してから、適切に充填し直します。場合によっては、より高度な機器(歯科用マイクロスコープなど)を使用する専門医への紹介が必要になることもあります。
また、フィステル(サイナストラクト)が消えない別の原因として、「歯根破折」の可能性も考慮する必要があります。歯の根に縦方向のひびや割れが生じていると、どれだけ優れた根管治療を行っても完治は困難です。
このような場合は、抜歯も含めた別の治療計画を検討する必要があるでしょう。
どのような状況であれ、フィステル(サイナストラクト)が消えない場合は必ず担当の歯科医師に相談し、原因究明と適切な対処を行うことが重要です。
フィステル(サイナストラクト)予防と根管治療後のケア — 再発を防ぐために
フィステル(サイナストラクト)の予防は、基本的に歯の感染を防ぐことから始まります。日常のケアでは、以下のポイントに注意しましょう。
・丁寧な歯磨き: 歯と歯茎の境目を意識した丁寧な歯磨きを1日2回以上行いましょう。歯間ブラシやフロスを併用することで、歯ブラシだけでは届かない部分の清掃も可能になります。
・定期的な歯科検診: 半年に一度の定期検診を受けることで、小さな虫歯を早期発見し、根の感染に進行する前に対処できます。レントゲン検査では、肉眼では見えない根の周りの異常も発見できます。
・早期治療: 痛みや違和感を感じたら、我慢せずに早めに歯科医院を受診しましょう。特に、冷たいものや熱いものがしみる、噛むと痛いといった症状は、神経の問題のサインかもしれません。
根管治療後のケアも重要です。根管治療を受けた歯は、脆くなりやすい特性があります。特に奥歯など噛む力がかかる歯は、被せ物(クラウン)で保護することが推奨されます。
また、根管治療後は定期的な経過観察が欠かせません。レントゲン検査により、根の先の病巣が治癒しているか、新たな問題が生じていないかを確認します。治療後の違和感や痛みがあれば、遠慮なく担当医に伝えましょう。
再発防止のための最も重要なポイントは「完全な初期治療」と「継続的なメンテナンス」です。信頼できる歯科医との長期的な関係を築き、お口の健康を維持することが、フィステル(サイナストラクト)を含む歯の問題の予防につながります。
フィステル(サイナストラクト)と根管治療の関係を理解して健康な歯を維持しよう
フィステル(サイナストラクト)は単なる歯茎のできものではなく、歯の根の感染という深刻な問題を知らせる「警告信号」です。痛みがなくても放置せず、専門的な診断と治療を受けることが重要です。根管治療は、感染した歯髄を除去し根管を清掃・密閉することで、フィステル(サイナストラクト)の原因を根本から解決する効果的な治療法です。
適切な根管治療により、多くの場合フィステル(サイナストラクト)は自然に消失します。しかし、治療後もフィステル(サイナストラクト)が消えない場合は、不完全な治療や歯根破折などの可能性があるため、再評価と適切な対処が必要です。日常の丁寧な歯磨きと定期検診による予防、そして早期治療の心がけが、フィステル(サイナストラクト)を含む歯の問題を防ぐ鍵となります。
歯の健康は全身の健康にも関わる重要な要素です。フィステル(サイナストラクト)の存在に気づいたら、自己判断せずに早めに歯科医師に相談し、専門的なアドバイスを受けましょう。適切な治療とケアにより、健康な歯と美しい笑顔を長く維持することができます。
当院では、ラバーダムやマイクロスコープを使用した成功率の高い根管治療を行っています。フィステル(サイナストラクト)が出来た、治療をしても消えないという方は、一度当院へご相談ください。
医師紹介
理事長 渡辺 泰平(歯学博士)
資格
PERF-JAPAN講師(根管治療)
MicroPex Hygienic Laboratory講師(歯周病治療)
Karl Kaps Germany 認定講師(マイクロスコープ)
日本・アジア口腔保健支援機構 第二種感染管理者検定講師
日本顎咬合学会 認定医
認定医日本健康医療学会 認定医
日本・アジア口腔保健支援機構 第一種感染管理者
健康医療コーディネーター