Regenerative Endodontics(再生歯内療法)について
こんにちは。千葉県で世界基準の根管治療が受けられる歯医者の🦷陽光台ファミリー歯科クリニック🍀理事長の渡辺泰平です。
さて、11月22・23日の2日間、PERF-JAPAN 50時間コース第3回目がありました。今回はRegenerative Endodontics(再生歯内療法)について講演させていただきましたのでこれについて少しお話させていただきます。
現在はRevitalization(リバイタライゼーション)とRevascularization(リバスクラリゼ-ション)は厳密な意味で血管再生していないのでRegenerative Endodontics(再生歯内療法)に統一して呼ばれています。←ここを混同している先生がHP見ていると多いですが……
この再生歯内療法は根未完成永久歯に適応される処置方法です。一つ一つ単語を解説していきましょう。
Revascularization(リバスクラリゼ-ション)の定義
傷害を受けた象牙質や象牙質・歯髄複合体の細胞を含む歯根構造が生物学的に置換される治療法とAAE(米国歯内療法学会)は定義しています。
歯根未完成永久歯とは?
歯根未完成永久歯とは、永久歯の歯根が完全に発育していない状態の歯のことです。歯が萌出したばかりの頃は、歯根が成長途中にあり、まだ完成していない段階にあります。しかし、何らかの原因で歯髄が死んでしまうと、歯根の成長が停止してしまいます。このような歯を「歯根未完成歯」と呼びます。
歯根未完成永久歯の特徴
- 歯根長が短い
- 髄腔が大きく、髄角が突出している
- 歯質が非薄
- 根管が漏斗状に開口
- 根尖孔部の歯周軟組織の量が多い
歯根未完成永久歯の原因
歯根が成長するには、歯髄の存在が必要不可欠です。歯髄がなければ歯根は成長を止めてしまいます。
この大事な歯髄が細菌感染などの原因によって失活(死んでしまう)しまったことで、歯根の成長が止まってしまったものが歯根未完成永久歯です。
歯根の成長過程で歯髄が死んでしまう主な原因は以下の3つです。
・虫歯
歯根が成長途中に虫歯になってしまい、その虫歯が大きくなり、歯髄に細菌感染を起こし、死んでしまうと、歯根の成長が止まってしまいます。
・外傷
歯をぶつけるなどの外傷によるダメージや欠けてしまったところからの細菌感染によって、歯髄が死んでしまうと、歯根の成長が止まってしまいます。
・中心結節の破折
小臼歯の咬合面に出現する突起を中心結節と呼びます。この中には歯髄の一部が潜り込んでいるため、破折、摩耗などにより中心結節が折れてしまうと、内部の歯髄がむき出しになり、細菌感染を起こしてしまうことがあります。
中心結節の発現率
①上顎第1小臼歯:0.26%
②上顎第2小臼歯:1.91%
③下顎第1小臼歯:1.38%
④下顎第2小臼歯:3.50%
Regenerative Endodontics(再生歯内療法)
従来、根未完成歯の治療はApexification、Apexogenesisの2つでした。
しかし、2001年に岩谷先生(宮城県開業)がRevascularizationを報告したことで世界中から注目が集まりました。
これは歯髄が死んでしまった歯根未完成歯に対して抗菌薬(3-Mix)を使用した滅菌処置と意図的な出血によって硬組織を形成し、歯根の長さと厚みを補い成長を促す新しい治療法です。
1970年代からこのような考え方はありましたが、なかなか成功には至っていませんでした。
意図的な出血によって幹細胞(Stem cell)、足場(Scaffold)、成長因子(Growth factors)の3つの主要素により再生歯内療法は成立することができました。
リバスクラリゼ-ション実施においてAAE(米国歯内療法学会)のガイドライン
症例選択
歯根未完成歯の歯髄壊死症例
ポスト&コアや最終修復物を必要としない症例
患者と両親の承諾が得られている
抗菌薬や薬剤に対してアレルギーがない
インフォームドコンセント
治療回数は二回またはそれ以上必要な場合がある
抗菌薬の使用があること
術後の有害反応として歯の着色があり、治療にうまく反応しない場合は疼痛と感染があること
代替治療として、MTAによるApexificatio、治療しない、抜歯があること
AAEのデータベースへの情報提供
根未完成歯に行われていた従来の治療はApexogenesis(アペキソゲネーシス)、Apexification(アペキシフィケーション)の2つも解説していきましょう。
Apexogenesis(アペキソゲネーシス)
アペキソゲネーシスは根未完成歯の歯髄を取り除く可能性の高い大きな虫歯や歯髄が口腔内に露出してしまった場合に、歯髄を切断し一部の歯髄を保存することで、歯根の成長を促す治療法です。
生活歯髄に対して麻酔下で生活歯髄を切断し、切断面に水酸化カルシウム製剤またはMTAを置くことで残存した生活歯髄中の象牙芽細胞、ヘルトヴィッヒ上皮鞘により、デンティンブリッジ形成・歯根象牙質の発育が生じます。これにより歯根の正常な成長を促し、歯を長持ちさせること可能となります。
Apexification(アペキシフィケーション)
根未完成歯の歯髄の全部が細菌感染してしまい、歯髄が死んでしまったときに行うのがアペキシフィケーションです。
根未完成歯の根の先は、未完成のためラッパ状に開いています。この状態だと、根の内部に最終的な材料であるガッタパーチャが充填しにくい、細菌が根の先の組織に広がりやすい、などのデメリットがあるため、このラッパ状に開いた穴を硬組織で塞ぐ必要があります。この硬組織を作る処置を「アペキシフィケーション」と呼びます。
術式としては
失活歯髄に対して
- 根尖まで壊死組織を除去、拡大、清掃する
- 根管に水酸化カルシウム製剤またはMTAを充填する
- 仮封
- 根尖が硬組織で閉鎖されるのを待つ(約6か月後)
- シーラーとGPで根管充填
水酸化カルシウムを用いたアペキシフィケーション(成功率74~100%)
このラッパ状に開いた部分に「水酸化カルシウム」を置き、定期的に薬を交換しながら長期間経過観察を行います。強アルカリ性の水酸化カルシウムの作用で、ラッパ状に開いた部分に硬組織が形成されるのを期待します。またMTAと比較して安価になります。
MTA-plug Apexification(MTAセメントを用いたアペキシフィケーション)(成功率77~100%)
水酸化カルシウムの代わりにMTAセメントを用います。現在はMTAセメントを用いた術式が採用されることが多いです。
なぜなら、水酸化カルシウムを用いた方法のデメリットである「長期間の経過観察」を必要としません。
One step apexification(長期的な通院の必要がなく1回で終了できる)が最大のメリットです。
ただ、高価、操作性が悪い、歯質の変色などのデメリットがあります。
アペキシフィケーションの欠点を補うリバスキュライゼーション
アペキシフィケーションが必要となる根未完歯は、発育途中のため歯根部の厚みが薄いという欠点があります。これによりアペキシフィケーションが成功したとしても、咬む力に耐えきれず、歯根が壊れてしまうリスクが付いて回ります。
この欠点を補う治療法として世界中から期待されているのが、硬組織の形成によって歯根の長さ・厚みを増すことが期待できる「Regenerative Endodontics(再生歯内療法)」なのです。
残念ながら、保険適応の治療ではないので近くの歯医者さんでの処置は難しく、自費診療となります。
根未完成歯の根管治療をご希望の方へ
歯髄の死んで成長が止まってしまった根未完成歯に対して、新しい治療法である「Regenerative Endodontics(再生歯内療法)」を実施する事で歯根の成長を促し、歯の保存率向上に努めております。千葉にて根未完成歯の歯内療法をご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
微力ながら、少しでも歯科界が良い方向に向かうお手伝いができればと考えております。今後もさらに研鑽を積んで患者さんに還元していきます。
では、次回のブログもお楽しみに!
千葉県で根未完成歯の根管治療なら🦷陽光台ファミリー歯科クリニック!
根管治療は大切な歯を守るための重要な治療法です。患者さんの不安を解消するため、木更津の歯医者🦷陽光台ファミリー歯科クリニックでは丁寧な説明と最新の治療法を行っています。
陽光台ファミリー歯科クリニックでは、根管治療に関する豊富な経験と実績を持ち、PERF-JAPAN講師として他の歯医者さんに根管治療を指導している理事長が診療を行います。痛みの少ない治療を心がけ、他院で抜歯宣告された高難度の根管治療にも対応しています。
また、根管治療後のメンテナンスや経過観察についても、きめ細かくサポートいたします。
歯の痛みや違和感で悩んでいる方は、ぜひ一度、木更津の陽光台ファミリー歯科クリニックにご相談ください。
確かな技術と丁寧な対応で、あなたの歯の健康を守ります。
当院の根管治療についてはこちらをご覧ください(根管治療は自費診療となります)。
当院では根管治療が必要な患者様の他の歯科医院様からのご紹介を承っております。詳しくはこちらをご覧ください。
他県からも多くの患者様が来院されている木更津市畑沢南の陽光台ファミリー歯科クリニック
最寄りはJR君津駅
理事長 渡辺 泰平(歯学博士)
PERF-JAPAN講師(根管治療)
MicroPex Hygienic Laboratory講師(歯周病治療)
日本・アジア口腔保健支援機構 第二種感染管理者検定講師
日本顎咬合学会 認定医
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日本健康医療学会 認定医
日本・アジア口腔保健支援機構 第一種感染管理者
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