歯の神経が死んでいるのに痛いのはなぜ?原因と対処法を解説
千葉で歯の神経の治療なら陽光台ファミリー歯科クリニックへ。
「歯の神経が死んでいるはずなのに、なぜ痛みを感じるのか?」多くの患者さんからこのような質問を受けます。実は、歯の神経が死んでいても痛みを感じることは珍しいことではありません。
歯の神経(歯髄)が死んでしまった状態を「歯髄壊死」と呼びますが、この状態でも痛みが発生する理由は複数あります。まず理解していただきたいのは、歯の痛みは歯の神経だけでなく、歯の周りの組織からも発生するということです。
歯の根の先端部分(根尖部)には、歯根膜という組織があり、ここには神経が豊富に存在します。歯の神経が死んでも、この歯根膜の神経は生きているため、根尖部に炎症が起こると強い痛みを感じることがあります。
また、死んだ神経が腐敗することで細菌が増殖し、その感染が歯の周りの組織に波及することで痛みが発生します。つまり、歯の神経が死んでいても、その周辺組織が炎症を起こすことで痛みが生じるのです。
歯の神経が死んでいるのに痛む主な原因
根尖性歯周炎(根の先の炎症)
最も一般的な原因が根尖性歯周炎です。歯の神経が死んで腐敗すると、その毒素や細菌が歯根の先端から周囲の組織に漏れ出し、炎症を引き起こします。この炎症により、歯を噛んだときの痛みや、何もしなくても感じる鈍い痛みが発生します。
歯根嚢胞の形成
根尖性歯周炎が慢性化すると、歯根の先端に膿の袋(歯根嚢胞)ができることがあります。この嚢胞が大きくなると、周囲の組織を圧迫し、痛みや腫れを引き起こします。また、嚢胞内に細菌感染が起こると、急性症状として激しい痛みが発生することもあります。
歯根破折
神経が死んだ歯は、栄養供給が断たれるため脆くなります。この状態で強い力が加わると、歯根が縦に割れる「歯根破折」が起こることがあります。破折した部分から細菌が侵入し、炎症を引き起こすことで痛みが発生します。
残存する神経組織の炎症
完全に神経が死んでいると思われていても、実際には一部の神経組織が残存していることがあります。この残存組織が炎症を起こすと、激しい痛みを感じることがあります。
痛みの種類と症状の見分け方
噛んだときの痛み(咬合痛)
歯を使って物を噛んだときや、歯を軽く叩いたときに感じる痛みです。根尖性歯周炎の典型的な症状で、歯根膜の炎症が原因となります。痛みの程度は軽度から重度まで様々で、患者さんによっては「歯が浮いたような感じ」と表現することもあります。
自発痛(何もしなくても痛む)
何もしていないのに感じる痛みで、ズキズキとした拍動性の痛みが特徴的です。根尖部の急性炎症や、歯根嚢胞の感染が原因となることが多く、夜間に痛みが増強する傾向があります。
腫れと圧痛
歯茎の腫れと、腫れた部分を触ったときの痛み(圧痛)が見られます。根尖性歯周炎が進行すると、歯茎にできものができることもあります。この「できもの」は膿の出口であり、ここから膿が出ると一時的に痛みが軽減されることがあります。
自宅でできる応急処置と注意点
痛み止めの服用
市販の痛み止め(イブプロフェン、ロキソニンなど)を用法・用量を守って服用することで、一時的に痛みを和らげることができます。ただし、痛み止めは根本的な治療ではなく、あくまで対症療法であることを理解しておきましょう。
口腔内の清潔保持
患部周辺を清潔に保つことで、細菌の増殖を抑えることができます。刺激の少ないうがい薬を使用したり、患部を避けて丁寧に歯磨きを行いましょう。
❌絶対に避けるべきこと
– 患部を温めること(炎症が悪化する可能性があります)
– 患部を強く押したり、爪楊枝などで刺激すること
– 勝手に抗生物質を服用すること
– 痛み止めを大量に服用すること
これらの応急処置は、あくまで歯科医院を受診するまでの一時的な対処法です。根本的な治療は歯科医院でしか行えないため、痛みが軽減されても必ず歯科医師の診察を受けてください。
歯科医院での治療法と予防策
根管治療(根の治療)
歯の神経が死んでいる場合の基本的な治療法が根管治療です。歯の内部を清掃・消毒し、細菌を除去してから根管を充填します。治療期間は通常数回にわたり、症状や感染の程度によって異なります。
抗生物質の投与
急性炎症や感染が強い場合は、抗生物質を処方して細菌感染をコントロールします。ただし、抗生物質だけでは根本的な治療にはならないため、必ず根管治療と併用して行います。
切開排膿
歯茎の腫れが著明な場合は、切開して膿を排出させることがあります。これにより圧迫による痛みが軽減され、治癒が促進されます。
歯根端切除術
根管治療で改善が見られない場合や、歯根嚢胞が大きい場合は、外科的に歯根の先端を切除する手術を行うことがあります。
※処置中の映像が流れますのでご注意ください
抜歯
歯根破折が著明な場合や、保存が困難な場合は、抜歯を選択することもあります。抜歯後は、インプラントやブリッジなどの方法で歯を補う治療を検討します。
予防策
– 定期的な歯科検診を受ける
– 虫歯の早期発見・早期治療
– 適切な口腔衛生習慣の維持
– 歯ぎしりや食いしばりの改善
– 外傷を避ける注意深い行動
歯の神経が死んでいても痛みを感じることは、決して珍しいことではありません。痛みの原因は主に歯の周りの組織の炎症にあり、根尖性歯周炎、歯根嚢胞、歯根破折などが主な要因となります。
痛みの種類によって原因や緊急度が異なるため、適切な判断と対処が重要です。自宅での応急処置は一時的な対症療法に過ぎず、根本的な治療は歯科医院での専門的な治療が必要です。特に、顔面の腫れや発熱を伴う場合は、重篤な感染症に発展する可能性があるため、速やかに歯科医院を受診することが重要です。また、痛みが軽減されても、問題が解決したわけではないため、必ず歯科医師による診察と治療を受けてください。
早期発見・早期治療により、多くの場合で歯を保存することが可能です。定期的な歯科検診を受け、口腔内の健康を維持することで、このような問題を予防することができます。歯の痛みでお困りの際は、我慢せずに当院へご相談ください。LINEまたははお電話(0438-38-4854)からご予約ができます。
医師紹介
理事長 渡辺 泰平(歯学博士)
資格
PERF-JAPAN講師(根管治療)
MicroPex Hygienic Laboratory講師(歯周病治療)
Karl Kaps Germany 認定講師(マイクロスコープ)
日本・アジア口腔保健支援機構 第二種感染管理者検定講師
日本顎咬合学会 認定医
認定医日本健康医療学会 認定医
日本・アジア口腔保健支援機構 第一種感染管理者
健康医療コーディネーター