根管治療でゴムマスクをする理由とは？安全性と効果を解説

千葉でラバーダムを使用した根管治療をしている歯医者、陽光台ファミリー歯科クリニックです。

根管治療を受ける際に、お口に薄いゴムのシートを装着された経験はありませんか？この薄いゴム製のシートは「ラバーダム」と呼ばれる歯科用器具で、患者さんからは「ゴムマスク」として認識されることも多い重要な治療器具です。

ラバーダムは、治療する歯だけを露出させ、他の部分を完全に遮蔽する薄いゴム製のシートです。治療対象の歯に小さな穴を開けて歯を露出させ、金属製のクランプ（留め具）で固定します。

ラバーダム

一見すると患者さんにとって不快に感じられるかもしれませんが、実は根管治療の成功率を大幅に向上させる必要不可欠な器具なのです。
現代の歯科治療において、特に根管治療では世界標準として使用されており、アメリカやヨーロッパの歯科医療では必須の器具として位置づけられています。

根管治療でラバーダムを使用する理由と目的

根管治療においてラバーダムが必要不可欠な理由は、主に感染防止と治療環境の確保にあります。根管治療は歯の内部の感染した組織を除去し、清潔な状態にする繊細な治療のため、外部からの細菌侵入を完全に遮断する必要があります。
唾液には数億個の細菌が含まれており、治療中に根管内に唾液が侵入すると、せっかく清潔にした根管が再び感染してしまいます。ラバーダムは治療部位を唾液から完全に遮断し、無菌的な治療環境を維持する役割を果たします。

また、根管治療では様々な薬液や器具を使用しますが、ラバーダムがあることで患者さんが誤って薬液を飲み込んだり、小さな器具を誤嚥したりするリスクを防ぎます。これは患者さんの安全を守る重要な役割でもあります。
さらに、ラバーダムにより治療部位が明確に視認できるようになり、歯科医師は集中して精密な治療を行うことができます。

これらの理由から、ラバーダムの使用は根管治療の成功率向上に直結しているのです。

ラバーダムの安全性とメリット

ラバーダムの使用による安全性とメリットは、患者さんと歯科医師の両方にとって非常に大きなものがあります。

患者さんにとっての安全性とメリット：
まず、治療中の薬液や器具の誤飲・誤嚥を完全に防止できます。根管治療では消毒薬や洗浄液を使用しますが、これらが喉の奥に流れ込むことを防ぎます。また、治療に使用する細かい器具が口の中に落下することも防げます。

不味い治療部位が唾液から遮断されることで、治療後の感染リスクが大幅に減少します。これにより治療の成功率が向上し、再治療の必要性が低くなります。結果として、患者さんの治療回数や治療期間の短縮につながります。

歯科医師にとってのメリット：
清潔で乾燥した治療環境が確保できるため、より精密で確実な治療が可能になります。唾液による視界の妨げがなくなり、治療部位を明確に観察できます。
ラバーダムの材質は医療用ゴムで作られており、アレルギー反応を起こすリスクは非常に低く設計されています。ただし、ラテックスアレルギーをお持ちの方には、ラテックスフリーの材質を使用することで安全に対応できます。

患者さんが感じる違和感や不安への対処法

ラバーダムの装着に対して、多くの患者さんが初回時に違和感や不安を感じられることは理解できます。口の周りが覆われることで息苦しさを感じたり、話しにくさを感じたりすることがあります。

息苦しさへの対処：
ラバーダムは鼻呼吸を妨げることはありません。口の部分のみを覆うため、鼻から正常に呼吸ができます。治療前に深呼吸をして、鼻呼吸に意識を向けることで、不安感を軽減できます。

ラバーダム
話しにくさについて：
治療中は会話の必要性は最小限ですが、緊急時や不快感がある場合は手を上げるサインで歯科医師に伝えることができます。多くの歯科医院では事前にサインの方法を説明しています。

心理的不安への対策：
治療前に歯科医師からラバーダムの目的と装着方法について十分な説明を受けることで、不安を軽減できます。

慣れるまでは違和感があるかもしれませんが、多くの患者さんが数分で慣れ、治療に集中できるようになります。不安がある場合は遠慮なく歯科医師にお伝えください。

ラバーダムなしの治療との違いとリスク

ラバーダムを使用しない根管治療と使用する治療では、成功率と安全性に大きな違いがあります。

感染リスクの違い：
ラバーダムなしの治療では、唾液中の細菌が治療部位に侵入するリスクが常にあります。これにより根管内の再感染が起こりやすく、治療の失敗率が高くなります。

根管内に唾液が侵入

一方、ラバーダムを使用した治療では、このリスクがほぼゼロになります。

再治療の必要性：
ラバーダムなしの治療では、感染の再発により再治療が必要になる可能性が高くなります。これは患者さんにとって時間的・経済的負担の増加を意味します。

国際標準との比較：
アメリカの歯内療法専門医会では、ラバーダムの使用を必須条件としており、使用しない治療は標準的な治療として認められていません。日本でも徐々にこの認識が広まっており、質の高い根管治療を提供する歯科医院では必ず使用されています。

陽光台ファミリー歯科クリニックの根管治療

これらの事実から、ラバーダムの使用は現代の根管治療において避けて通れない重要な要素であることがわかります。

ラバーダム使用の重要性と患者さんへのメッセージ

根管治療におけるラバーダム（ゴムマスク）の使用は、単なる治療の選択肢ではなく、成功率の高い質的な治療を提供するための必須条件です。

初回の装着時には違和感を感じられるかもしれませんが、その効果は治療成功率の大幅な向上、安全性の確保、治療期間の短縮など、患者さんにとって計り知れないメリットをもたらします。現代の歯科医療における世界標準の治療法として、ラバーダムを使用した根管治療を受けることをお勧めします。
治療に対する不安や疑問がある場合は、当院へご相談ください。当院では、根管治療を行う際には必ずラバーダムを使用します。