根管治療後にずっと違和感が残る5つの原因と治療法
千葉で根管治療が得意な歯医者、陽光台ファミリー歯科クリニックです。
根管治療は、歯の神経が炎症を起こしたり、細菌感染した際に行われる重要な歯科治療です。歯の内部にある神経や血管を取り除き、根管内を清掃・消毒した後、薬剤で充填する治療法で、歯を保存するための最後の砦とも言える治療です。
多くの患者さんから「根管治療を受けたのに、ずっと違和感が続いている」というご相談をいただきます。この違和感は、軽微な不快感から強い痛みまで様々で、患者さんの日常生活に大きな影響を与えることがあります。
正常な治癒過程では、治療後数日から1週間程度で違和感は軽減していきます。しかし、治療から数週間、時には数ヶ月経っても違和感が続く場合は、何らかの問題が生じている可能性があります。
違和感の種類には以下のようなものがあります:
– 噛んだ時の痛みや圧迫感
– 何もしていなくても感じる鈍い痛み
– 冷たいものや温かいものがしみる感覚
– 歯が浮いたような感じ
– 隣の歯への放散痛
重要なのは、これらの症状を軽視せず、適切な診断と治療を受けることです。放置すると、より深刻な問題に発展する可能性があります。
根管治療後に違和感が続く5つの主要原因
原因1:不完全な根管清掃
根管治療で最も重要なのは、感染した神経組織や細菌を完全に除去することです。歯根の形態は複雑で、側枝や湾曲した根管があるため、清掃が不十分になることがあります。
残存した感染組織は継続的な炎症を引き起こし、持続的な違和感の原因となります。特に奥歯は根管が複数あり、見落としやすい部分が存在するため、注意が必要です。
原因2:根管充填の不備
根管清掃後は、細菌の侵入を防ぐために根管を密封する必要があります。充填材が適切に根管先端まで到達していない場合や、充填が不完全な場合、空隙が生じて細菌が再侵入する可能性があります。
また、過充填(充填材が根管先端を超えて押し出される)も、周囲組織への刺激となり、長期間の違和感を引き起こすことがあります。
原因3:細菌感染の再発
治療中の唾液の混入や、仮蓋の脱落、治療期間の延長などにより、清掃済みの根管に細菌が再侵入することがあります。
この場合、根管内で細菌が増殖し、再び感染状態となります。感染の再発は、治療直後ではなく、数週間から数ヶ月後に症状が現れることが多く、診断が困難な場合があります。
原因4:歯根破折
根管治療を行った歯は、神経を失うことで栄養供給が断たれ、脆くなります。強い咬合圧や外傷により、歯根にひび割れや破折が生じることがあります。歯根破折は肉眼では確認が困難で、マイクロスコープを用いた精密な検査が必要です。
破折部分から細菌が侵入し、持続的な感染と違和感を引き起こします。
原因5:隣接歯への影響
根管治療時の器具の操作や薬剤の使用により、隣接する歯の神経に影響を与えることがあります。また、治療歯の噛み合わせの変化により、隣接歯に過度な負担がかかることもあります。
この場合、治療した歯ではなく、隣の歯が原因で違和感を感じているため、診断と治療が複雑になります。
違和感のタイプ別症状と判断基準
・痛みを伴う違和感
鋭い痛みや拍動性の痛みは、活発な感染や炎症を示唆します。特に夜間に痛みが増強する場合や、市販の鎮痛剤でコントロールできない場合は、緊急性が高い状態です。
この症状は、根管内の感染再発や根尖性歯周炎の急性化を示している可能性があり、速やかな治療が必要です。
・圧迫感・重い感じ
歯が浮いたような感覚や、圧迫感は慢性的な炎症を示すことが多く、根尖周囲の組織に軽度な炎症が続いている状態です。
この症状は日常生活に大きな支障をきたすほどではありませんが、放置すると急性化する可能性があるため、定期的な観察が重要です。
・噛み合わせの違和感
噛んだ時の違和感や痛みは、根尖周囲組織の炎症や歯根膜の異常を示します。また、治療後の詰め物や被せ物の高さが適切でない場合も、同様の症状が現れます。
噛み合わせの調整で改善する場合もありますが、根本的な問題が解決されていない可能性もあるため、慎重な診断が必要です。
・冷温刺激への反応
根管治療後に冷たいものや温かいものがしみる場合、治療が不完全である可能性があります。完全に神経を除去した歯は、通常、温度刺激に反応しません。
この症状は、神経の取り残しや隣接歯の問題を示唆するため、詳細な検査が必要です。
いつ歯科医院を受診すべきか
以下の症状がある場合は、速やかに歯科医院を受診してください:
– 治療から2週間以上経っても違和感が改善しない
– 痛みが徐々に強くなっている
– 歯茎の腫れや膿の排出がある
– 発熱や全身の不調を伴う
– 市販の鎮痛剤が効かない
早期の対応により、より深刻な問題への進行を防ぐことができます。
根管治療後に違和感がある時の治療選択肢
再根管治療の検討
違和感の原因が根管内の問題にある場合、再根管治療が第一選択となります。前回の治療で使用した充填材を除去し、根管を再度清掃・消毒して、適切に充填し直します。
再根管治療の適応
– 根管充填の不備
– 感染の再発
– 根管の見落とし
成功率は初回治療より低くなりますが、自由診療にて適切に行われれば多くの場合で症状の改善が期待できます。
歯根端切除術
再根管治療が困難な場合や、根尖部に限局した病変がある場合は、外科的な歯根端切除術を検討します。歯茎を切開して歯根の先端部分を除去し、感染組織を直接取り除く治療法です。歯根端切除術の動画はこちら※術中の映像が映りますのでご注意ください
抜歯と代替治療法
保存治療が困難と判断された場合は、抜歯を検討します。抜歯後の治療選択肢には以下があります:
インプラント治療
– 最も自然歯に近い機能回復が可能
– 隣接歯を削る必要がない
– メンテナンスが欠かせない
ブリッジ治療
– 短期間で治療完了
– 保険適用可能
– 隣接歯の削合が必要
部分入れ歯
– 最も侵襲の少ない治療
– 取り外し可能
– 機能面での制限がある
セカンドオピニオンの活用
治療に不安がある場合や症状が改善しない場合は、セカンドオピニオンを求めることも重要です:
セカンドオピニオンを求めるタイミング
– 治療方針に疑問がある場合
– 症状が長期間改善しない場合
– 抜歯を勧められた場合
– 治療費が高額な場合
セカンドオピニオンの準備
– 治療経過の記録
– レントゲン画像の持参
– 服用薬の情報
– 具体的な質問事項の整理
専門医による客観的な評価により、最適な治療方針を決定できます。セカンドオピニオンについて詳しくはこちらをご覧ください。
根管治療後の違和感は決して珍しいことではありませんが、適切な対応により多くの場合で改善が期待できます。
違和感が続く主な原因として、不完全な根管清掃、根管充填の不備、細菌感染の再発、歯根破折、隣接歯への影響が挙げられます。これらの問題は、精密な診査診断により特定し、適切な治療法を選択することが重要です。
治療に不安がある場合は、セカンドオピニオンを求めることも選択肢の一つです。患者さん一人ひとりの状況に応じた最適な治療方針を決定し、快適な口腔環境を取り戻しましょう。
根管治療後の違和感でお悩みの方は、一人で抱え込まずに当院へご相談ください。適切な診断と治療により、必ず改善への道筋が見つかります。初めての方はLINEまたははお電話(0438-38-4854)からご予約ができます。
医師紹介
理事長 渡辺 泰平(歯学博士)
資格
PERF-JAPAN講師(根管治療)
MicroPex Hygienic Laboratory講師(歯周病治療)
Karl Kaps Germany 認定講師(マイクロスコープ)
日本・アジア口腔保健支援機構 第二種感染管理者検定講師
日本顎咬合学会 認定医
認定医日本健康医療学会 認定医
日本・アジア口腔保健支援機構 第一種感染管理者
健康医療コーディネーター